はぐくみのあった江戸社会

~はぐくみのあった江戸社会~

 

江戸時代、武士は土地を所有していませんでした。

武士の知行地としている土地の所有者は村人で、武士が持っていたのは年貢の徴収権だけでした。

 

江戸時代の根幹となっていた制度における武士の責務は、金銭的利益の追及と相反していましたので、武士としての礼節を守る志が重んじられていました。

 

ご縁のあるご先祖の録高は、現代の価値に換算すると驚くほど薄給に感じられます。ほかに手当はあったようですが、たいていの武士は、貧しく、礼節をわきまえることを信条としていました。

 

開国後、わが国では欧米化し、便利で豊かになった面ばかり、喧伝されていますが、利権を貪る現代の指導者たちの堕落ぶり、搾取ぶりを見ると、考えさせられちゃいますよね。一握りの既得権者が豊かになる社会の仕組みには「愛」が感じられません。

 

江戸のまちの主役である商人たちの考えの基本には、自然が主で、自然に生かされている人間は自然に従うべきだという「草主人従」の考えかたがあり、多くを貪らずに、長く安泰で、安心して暮らせる共生のまちを営んでいました。

 

当時の江戸を訪れた外国人の記録からは、「金持ちは高ぶらず、貧乏人は卑下しない。本物の平等精神、われわれはみな同じ人間だと心底から信じる心が社会の隅々まで浸透している」、「この国には平和、行きわたった満足感、豊かさ、完璧な秩序、そしてどの国よりもましてよく耕された土地が見られる」と江戸の様子が紹介されています。

 

2010年10月