戦後66年の節目

戦後66年の節目を迎え「敗戦のトラウマ」について記してみたいと思います。

最近の研究では、幼児期虐待の行動異常について、遺伝子(DNAそのものではなく、その発現パターン)が引き継がれ得ることがわかっています。現代を生きる子どもたちの問題の背景に「戦争」という集団レベルの暴力の因子が代々継承されていることを見る視点が必要だと感じています。

 

私たちの人生は、時に、不可避な衝撃的出来事により、激しく揺さぶられます。

天災、事故、戦争・・・極度のストレス状態に置かれた人は、その記憶と心を切り離すことでその状況を生き延びます。海馬に刻印されたトラウマは、細胞レベルでもエネルギーレベルでも転写され、子孫に引き継がれてしまうのです。当事者は、想起不能になった心の傷を徐々に思い出し、語り、当時の自分の置かれた状況を嘆き悲しみ、否定的な想念を手放すことで「トラウマ化された心の傷」を「傷ついて癒した過去体験(心の傷)」として脳の引き出しに整理することができます。

 

しかし、体験なしに親の世代のトラウマを引き継ぎ、暴力の連鎖を再現してしまうのが子どもたちです。私たちの世代は、まだ、親の通過した苦しみを親自身の葛藤をとおして知っているので想像の範囲にありますが、そのまた子どもたちにとってはとりつくしまがありません。大切な子どもたち、孫たち、希望あふれる未来のために、今、私たちが自分自身の心の内を語っていくことが本当に大切だと思っています。

 

戦争の悪夢を忘れたい思いの状態のまま、一切を語ることもなく、多くの方がこの世を去っています。

   

敗戦後、戦地から帰ってきた青年たちは大慌てで結婚し、想像を絶する非人間的な体験を抱えたまま、たくさんの子どもたちが生まれました。抑え込まれたトラウマは、再体験、麻痺・回避、過覚醒という症状をもたらします。

そんな家庭では、お父さんは度々悪夢にうなされていた、お酒を飲んで家族に暴力をふるっていたという話しを聞きます。無意識に戦う体勢を再体験したり、身近な家族と心の交流のできぬまま、働くこと(仕事)に過剰な関心を向け続けた人も多いと聞きます。戦後日本が遂げた奇跡的な経済復興の背後に、虚しさを埋めるように過覚醒の状態で働き続けた「仕事依存症」をみる専門家も多いのです。

 

あなたにとって戦争とはどのようなものですか?

生まれ育った家庭において、暴力が再現されていませんでしたか?

 

家族が実際に暴力に関わっていなくても、私たち日本人が体験した敗戦のショック自体が、大きなトラウマと言えるのではないでしょうか。

戦後、私たちが貪欲に追い求めてきた豊かさと、過剰な消費の陰には、日本人としての純粋な精神性への否定がありませんか?

 

神の国日本は神風が吹くと信仰し、不利な形勢にもかかわらず、多くの日本人が勝利を願い、信じ、祈り、お国のため、家族のためと命を顧みず純粋な魂を捧げました。

 

敗戦時、ご両親は、おじいちゃん、おばあちゃんは何歳でしたか?

家族は敗戦時に抱いた行き場のないやるせない感情を語ってきましたか?

語られてこなかったとしたら、あなたの心の奥には刺さったままの棘のようなトラウマが継承されているのです。

 

私たちに今できることは何でしょうか。

自分の問題として語り始めてみませんか?